

梨の樹について


“樹上完熟”のこだわり
市場に流通する多くの梨は、日持ちや輸送を優先して早めに収穫されるのが一般的です。しかし、梨の樹では「梨本来の甘さと香りを最大限に引き出すには、樹の上で完熟させることが不可欠」と考えています。
樹上完熟とは、果実が自然の力で完熟するまで収穫を待つ栽培方法です。気温や日照、風の流れ──自然のあらゆる条件を感じながら、梨自身が「今が食べごろ」と語りかけてくる瞬間を、丁寧に見極めて収穫します。
完熟の梨は、甘みが深く香りも豊か。口にした瞬間のジューシーさや、みずみずしさがまるで違います。一方で、収穫のタイミングを少しでも誤ると食味が落ちたり、台風や鳥の被害を受けやすくなるリスクも伴います。
それでも私たちは、この“樹上完熟”にこだわり続けています。それは、ただ甘いだけではない「旬の味わい」をしっかりとお届けしたいからです。
畑の環境、一本一本の樹の状態、品種ごとの特性を見極め、最適な収穫のタイミングでお届けする梨。
それが、梨の樹の誇りであり、美味しさの理由です。

二つの災害が教えてくれた「本当の仕事」
就農当初は、JAを通じた出荷を中心に行っており、「作ること」が自分の仕事だと思っていました。しかし、2021年の春に発生した凍霜害と、続く6月の雹害という自然災害が、大きな転機となりました。
凍霜害では、防霜ファンのない園内で、深夜から早朝にかけて火を焚く「改良燃焼法」により対応。1週間にわたる作業の末、奇跡的に被害を免れ、地域で唯一の成功事例として注目されました。ところが、安堵した直後に今度は雹害に見舞われました。果実や樹木は傷つき、春に植えたばかりの苗木も壊滅的なダメージを受けました。そうした中で、SNSなどを通じて販売した梨に対し、「見た目に傷があってもとても美味しかった」「スーパーの梨とはまるで違う」といった声を多く頂戴しました。
この経験を通じて、「一番美味しいタイミングで梨を届けることこそが、本当の仕事なのではないか」と気づきました。以降、直販にも注力し、「お客様に届けること」ま でを一貫して担う体制へと切り替えてまいりました。また、今後の気候変動に備えて「多目的防災網」の導入を進め、栽培品目も梨に一本化。品質を第一に考えた農業に取り組んでおります。
梨づくりへの想い

梨の樹ストーリー

100年の系譜を受け継いで
梨の樹は、五代にわたり白河の地で梨作りを続けてきた歴史ある果樹園です。曽祖父の代から始まり、祖父、父、そして現在の園主へとバトンが受け継がれてきました。家の前にはいつも畑があり、子どもの頃の遊び場でもありました。特別に「継いでほしい」と言われたことはありませんでしたが、気づけばその畑が人生の舞台となっていました。長い歴史の中で育まれた栽培技術や土地との相性を活かし、さらに新しい時代に合った形で「おいしい梨を届ける」ことを使命とし、これからも梨づくりに向き合ってまいります。

学びの場への参加
梨作りに本気で向き合うため、埼玉県で開催されている梨農家の勉強会「有乃実塾」に参加しております。全国各地の生産者と交流を持ち、最新の栽培技術や販売方法などを学びながら、日々研鑽を重ねております。お客様により美味しい梨をお届けできるよう、これからも技術と知識の向上に努めてまいります。

所在地・アクセス
住所
〒961-0011 福島県白河市久田野夕顔山13番地
アクセス方法
東北自動車道 白河ICより車で約11分。JR久田野駅からもアクセス可能です。
詳細はGoogleマップをご参照ください。

